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お便りくださいね

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2002年8月9日(金)
PM 1:30〜3:30
深泥池公園に集合


それゆけ !

『上賀茂探検クラブ』


       第6回

   水生生物観察会
   
講師紹介

田末 利治氏   

京都市左京区在住
深泥池を守る会 


みぞろがいけ

全体の地図はこちら


             

左図は、北山末端部・その南京都盆地・川・深泥池の位置など。 賀茂川と高野川の間に、西から東へ低い山が続いています。

この麓に広がるのが上賀茂・下鴨・松ヶ崎。ここは賀茂川と高野川がつくった扇状地です。田んぼや野菜畑(すぐき菜やナノハナ畑)が昔は広がっていました。


山麓帯には、大田の沢のカキツバタ群落や深泥池(自然遺産)が、また上賀茂神社・社家、松ヶ崎妙法の送り火(建築や文化遺産)、その他多くの遺跡があります。この山麓帯は京都北部の最重要な保全地域です。

ところで、深泥池はたいへん有名な池です。「いまから1万年ほど昔に終わったと言われる氷河時代に生存していた動植物の子孫たちが今も生きて暮らしている。」という古い池だからです。そこで、深泥池にいる全生物を「深泥池生物群集とよんで、これを国(文化庁)は天然記念物に指定して守っています(1988年に指定)。深泥池は学問上も国民にとっても大変に大切な自然なのです。

航空写真を見ると、深泥池は盆地の北のはしで小さな谷間にある小さな池なのに、池の中には昔からの自然の証拠(記録)が約14mも積み重なっている、大きな大きな"自然の書物"だといえるでしょう。


深泥池の魚たち

1988年3月から調査が続いています。 水草が生えていなくて、いちばん広い所に定置網を おき、
この網で取れる水中の動物を調べてきました。


 網に入った動物たち

 1. 魚たち ブルーギル(8424) ・ブラックバス(オオクチバス) (1330)・ゲンゴロウブナ(1649)
ナマズ・ (2)カムルチー(98)・モツゴ(643) ・ヨシノボリ(72) ・コイ (32)・ドジョウ (1)
 2. カメ
  (は虫類)
イシガメ(33) ・ミナミイシガメ(3)・クサガメ(387)・スッポン(12)・アカミミガメ (60)
ワニガメ(4)
 3. カエル
  (両生類)
ウシガエル(19) ・ウシガエルノオタマジャクシ (60)
 4. その他 テナガエビ(8)・ヌマエビ (53)・トンボノヤゴ(オニヤンマ)(1)・アメリカザリガニ (95)
( )内の数字は1998年(3,4,5,6,7,9,10,11月)に定置網に入った全体の個体数

 生態分布
     どんな場所にどんな植物が生えているかを調べてみましょう

(林) (草原) (湿地) (水辺)
 水草
(池の中)
 水草

虫を食べる草
(食虫植物)

タヌキモの観察 
全体の姿 (葉・茎) 花の形 捕虫のうの形


顕微鏡で見たスケッチ

深泥池にはたくさんのタヌキモが夏から秋にかけて黄色の花をいっぱい咲かせます。一つ一つの花の形をよく見ましょう。花以外は水の中です。水の中でどのようになっているかもよく見ましょう。
  @ どんな虫を食べるのでしょう。           
  A 虫の食べ方は?
  B タヌキモが住めるのはどのような状態の水中でしょう?
  C 冬になるとタヌキモはどうなるのでしょう?

  答え
  B 流れのない淡水の沼、貧栄養の水質
  C 
水底に沈下、先の芽がボール状になり越冬する

 虫をとる(食べる)

右の図を見てください。 タヌキモの捕虫のうは小さく、虫の 入り口もたいへん小さくて見ること ができません。それで絵にして説明 します。 「わな」のように袋をつかって虫を とるのです。それで、このような虫 のとり方を「わな式」とよんでいます。


袋(捕虫のう)の中にはいった虫はどうなっていくのでしょう。 虫が入ると、捕虫のうのかべから消化液を出して、この消化液で虫を溶かします。次にその中にふくまれるタンパク質を吸収する事で、チッソや、リン、カリウムなどの栄養をとっているということです。 ところで、湿原とか沼は昔から水がよく澄み、養分のたいへんすくない、やせたところです。そこで、虫をとる植物は、それぞれ自分のからだ(葉とか根など)をつくりかえて、虫をつかまえ、足りない養分を虫から吸いとるしくみを身につけたというわけです。 虫のつかまえ方には「わな式」のほかに「とりもち式」と「おとしあな式」と言うのがあります。
次の食虫植物の秘密兵器はそれぞれ「何式」でしょう?

   ハエトリソウ(ハエジゴク) … わな式
   モウセンゴケ  …………   とりもち式
   ウツボカズラ  …………   おとしあな式

トンボの季節


チョウトンボ




イトトンボ
 1. 夏はなく(音をだす)虫がたくさんいます。トンボはなきますか? 泣かない
 2. トンボのはね、からだ、あし、顔(目玉)をよく見ましたか?
  3. トンボはどこに卵をうみますか? 水中
 4. 卵はかえったら何になりますか?また、それはどこに住んでいますか? ヤゴ(幼虫)
 5. どこでいきをする(呼吸する)のでしょう?                                  肛門から水を吸い込み、
腸で息をする
 6. 何を食べているのでしょう?  水中の幼魚や虫類
   * トンボは何を食べて生きているのでしょう? 空中を飛ぶ虫  
   * トンボは歩きますか? 歩かない
 8. 深泥池で、今日見つけたトンボの名前をかきましょう。
 9. 深泥池で、今日見たトンボは、からだの三ヶ所で
   たいへん違っています。
   それぞれどんな点が違っているのでしょう?


イトトンボ   ヤゴは尾の先に3枚のヒレ
複眼はくっついていない
後ろ羽が前羽と同じ大きさ

トンボ ヤゴはチョウに水を吸い込み呼吸
複眼は大きく、くっついている
後羽の付け根は、前羽より巾が広い

みなさんも虫のこと、自然のこと 考えてみませんか!

遠い、遠い昔、日本列島が「あきつ(秋津)島」とよばれていたことがあったそうです。「あきつ」とはトンボのことです。トンボは沼や池がだいすきです。昔、川のまわりには、ヨシ原がたくさんあり、そのヨシ原のなかに無数の沼がちらばっていたことでしょう。そして、トンボはいっぱいいたのです。  

いま、田んぼは日本人の主食になっているイネが細長い葉を何枚も伸ばし、緑色一色です。やがて花が。むかしたんぼはヨシ原などをひらいてつくったし、たんぼに必要な水をためる池も昔の人はつくりました。日本列島は沼や池、たんぼがたくさんになり、とんぼたちがふえるようにもなったのでしょう。人々はたんぼのドジョウやタニシやめだかを取り、沼や池のヒシの実を集めてたべました。  

このような、トンボだけでなく、たくさんの種類の生き物が住んできた沼や池やたんぼが地獄に変わってしまったのは、今から30年ほど前からはじまったことです。どこもここも虫たちの墓場となったのです。いまも、汚い川、どぶ池などがあります。だれがこんなに虫たちを苦しめているのでしょう?
   

水生昆虫(すいせいこんちゅう)

一生のうち、ある期間、水中にすむ昆虫をこうよびます。 昆虫は誕生してから数億年たつといわれています。トンボやカゲロウの仲間は最も古い時代から生きている種類です。

セ  ミ

深泥池の周囲の山林には毎年7種類のセミの声を聞きます。また、セミのぬけがらも見つかります。その中にチッチゼミもふくまれます。チッチゼミは山地性で幼虫がくらす山(土の中)は自然度が最高であるといわれています。

     ニイニイゼミ ・ クマゼミ・アブラゼミ ・ ツクツクボウシ ・  ミンミンゼミ ・ チッチゼミ ・ ヒグラシ(ハルゼミ)

深泥池の水

昔(松ヶ崎浄水場で、私たちの水道水ができるまで)は、深泥池の水はたいへん きれいな水でした。

きれいな水、よご汚れた水

水という液体は、いろいろな物質をとかしています。さとうや食塩をとかすと、さとう水や食塩水になります。琵琶湖の水、鴨川の水、海の水、雨水。これらはみんな、何かをとかしています。このような水の性質を調べると、酸性か、中性か、アルカリ性のどれかです。また、酸性は「すっぱい味」が舌で感じられますが、その強さに、弱い強いがあります。もちろん、舌では感じられない程度の酸性もあります。それでは、深泥池の水はどうなっているのでしょう。 リトマス試験紙の代わりに"BTB"とよぶ薬品で調べてみると ・・・・・・
       

春・・・ミツガシワ  

深泥池が春を迎えて初めて池に咲く花・・・それはミツガシワとよぶ水草 の花です。この池では、毎年3月末から咲き始めて、4月末まで池のどこかで花は見られます。

浮島  

この池には広い浮島があります。京都の深泥池より南にはありません。みられないといえばミツガシワもみられません。ところで、浮島は浮いています。だからたんぼや畠の土砂はありません。また、一年間浮島を見ていると、夏は徐々に浮き上がり、冬には徐々に沈むのがわかります。 毎月観察していると、浮島の上にはいろいろの草花がつぎつぎと咲くのがみられます。アカマツなどの木もはえています。  

? ミツガシワ とか 浮島 がなぜ 深泥池 より南にはないのでしょう ?
? 浮島を作っているものは ? いつからあるのか ? 疑問だらけ !

    
そこで、今から30年ほど前に、 池の底にたまっているものを取り出して調べてみようと言う事になりました。
@ 浮島の上から池の底に長い鉄パイプを打ち込む。

A いちばん底まで17.4mあった。パイプの中に詰まった泥炭を抜き取る(ポーリング)

B 取り出したものを、花粉分析(かふんぶんせき)という方法(けんび鏡を使う)で、ふくまれる花粉の化石を探し、形の違いなどから植物の種類を調べます。

C いちばん底のものから上まで、ずっとミツガシワの花粉やミズゴケが含まれていました。 D ある深さでは、火山灰が発見されました。

E 別のいろいろの調査をした結果、一番底(17.4m)にたまっているものは約14万年前のものだろうということになりました。これで、14万年もの大昔から、湿地や沼が続いて、今の池まで引きつがれてきたこともわかってきました。

氷河時代(ひょうがじだい)

地球には1万年前までに、氷河期(氷期)とよぶ寒い時期と 間氷期(かんひょうき)とよぶ暖かい時期が交互にやってきました。 これが氷河時代です。一番最後の氷期は約7万年前から1万年前まで続いた事になっています。 深泥池は寒い氷期を過ごしてきた事になります。その氷期からはえていて、その子孫が今も生き続けているのがミツガシワです。他にも生きています。

浮島やその底の断面図


オオミズゴケが 盛り上がりを作る。 そこへ木が生える。



池の水の面とはほぼ同じ。 夏は浮き上がり、冬は沈む。





浮島を作っている 1.0〜1.5m の厚さ



約15cm(不明な所が多い)





10m以上の厚さ
   

泥炭(でいたん)とは

沼や湿地で生えていた草が枯れて積み重なり(たい積という)それが水の中で分解していくが、完全に分解しないで残り、黒い色のたい積物となってどんどん残っていきます。 深泥池でも厚い泥炭層となっているのです。 浮島の上はまだやわらかく、ブヨブヨです。

ヒメコウホネ(すいれん科)  花期 : 5月下旬 〜 10月  

かつて西日本でみられた水草。今では珍しい存在となった。  1930年代の深泥池ではコウホネの根茎が密生していたらしい。戦後、特に30数年前、分布激減。水質悪化、外来植物に押された、などが一因とされている。この激減状態は現在も続いている。分布域は浮島の南側にある細長い水域の一部のみ。    

この分布はジュンサイ群落の中。水面上に黄色花を突出。また、大型で濃緑色のやじり方の葉を浮かべる。水面上に突出するものも。

ヒメコウホネの花には虫たちが集まる。早朝に開き夜閉じる開閉を繰り返しながら数日間咲く。受粉は他の花の花粉による。自家受粉(近親交配)を避けるための巧みな仕組み・・・・・・。遺伝的多様性や活力を維持するのに寄与しているといわれるこの仕組みは多くの固体の存在(分布)がなければ有効ではない。深泥池の現状に危惧。  

深泥池でヒメコウホネときってもきれない昆虫が発見される。ミドロミズメイガと名づける蛾の仲間。 葉裏で孵化した幼虫が葉の中に潜り、葉を食べ、続いて水中の葉柄に。葉柄を食べ、やがて根際で蛹となる。ここから羽化して成虫に。成虫にまでなることができるのはヒメコウホネを食べなければならない(ジュンサイも食べるが)。

タヌキモ (たぬきも科・食虫植物)   
花期 6月中旬 〜 10月上旬  

細かく避けた葉(緑色)をもつ細長い体形。全体が水面下で浮かんでいる水生植物。根がない。葉片の間に小さい捕虫器(小さい袋状)が無数。ミジンコなどの水中小動物を捕まえて消化吸収する。高さ10cm内外の花茎を水上に出して、数個の黄色花を開く。花には距(突起)が。  

栄養のとり方が小動物を捕まえて窒素源とする。特殊化の進んだグループで、貧栄養の湿原や池で生活(酸性で冷たい水・・・バクテリアが繁殖しにくい・・・遺体の分解進みにくい・・・窒素分が極端に欠乏・・・こんな環境が北の寒い地方の湿地に多い)。 深泥池のかつての自然環境を調べながら、現在の深泥池に向き合いたい。

深泥池の浮島  

おもに、オオミズゴケの遺体が分解しきらずに堆積した泥炭でできている。この浮島の厚さは約1.5m。内部のガス(メタンガスの発生)により夏季は浮き、冬季は沈む。浮島を形成する泥炭の堆積物(厚さ約1.5m)の下に20cm前後の水の層があり、その底は深さ15m余り続く。  

浮島の広さは約3ha、全体が湿原。水を湛えた平坦部(シュレンケ)が広がり所々にオオミズゴケの繁殖による隆起部(ビュルテ)が水面上に出ている。ここにアカマツやナツハゼ・ネジキ・その他の樹木がみられる。浮島表面はオオミズゴケを中心にハリミズゴケも生育する高層湿原で、強い酸性で貧栄養の水質が保たれている。  

ミズゴケ湿原=高層湿原の酸性で貧栄養の水質環境に、最終氷期(ウルム氷期)の遺存生物(遺存種)・・・〔ホロムイソウやミズグモを筆頭に多くの種類の動植物〕…が知られている。深泥池を学術的に有名にしているのがミズゴケ湿原が維持されている浮島の存在である。

         第6回 水生生物観察会  
 当日の模様
   参加者   夏休みの為参加者が多く、遠方から の参加者、地域の方を含め71名の参加がありました。

今日は、大勢集まってくださって、ありがとうございました。前回の植物採集に引き続き、夏休みのものとして、水生生物の観察会を開かせていただきます。

単に深泥ヶ池にいる動物を見る、植物を見る、見て名前を調べるというだけではなく、何故、それが此処にいるのか、どう意味を持って此処にいるのかという事を、先生と一緒に考えて行きたいと思います。それで、一つの動物、一つの生物を調べる事に始まって地球が今どのようになっているか、私達は何を守ったらいいのか、見る。見てから考える、考えてからそして行動する。行動する事は大きな事でも無くても結構です。自分が出来る事は何だろうっていう事を、子供達や大人も一緒に考えていきたいと思います。

それでは、今日の講師をして下さる田末利治先生をご紹介いたします。先生宜しくお願いいたします。


深泥池公園で



初めまして。
皆さんはこの地元の方ですから、今までに、この深泥ヶ池に来て、この池のそばを歩いた人は多いと思います。念のため、この池の周りを歩いて見た人、手をあげてください。 はい、ありがとう。あんまり多くじゃないですね。子供さんは小学生の1年生から中学生までそれぞれ何人か居られますね。 あとはお母さんたち、お父さんもおいでです。それではこれから皆さんと一緒に、おもに夏に見られる生物を、紹介を兼ねて勉強したいと思います。
みぞろいけの地図( 冊子90 〜 91頁 )から

観察コースは、池の南側で、西山の山麓にある山道を進み、最終地はチンコ山の南の「流入水、つまり小川の所です。この地図を見ると、池の周囲の山には、古墳をはじめ古い時代の遺跡、人々が作ったもの、働いたあとなどが点々と残っているのに気がつきます。

みぞろがいけ

地図の中に矢印があります。この矢印は何をさしているのでしょう。また、曲がりくねった線にも注目して見ましょう。

賀茂川や高野川には大雨が降ると奥山から大水が流れ出し、その大水が氾濫すると大量の砂や石、泥を含んだ水が上賀茂神社前−大田神社前−深泥池の土地まで流れてきました。繰り返し押し寄せる泥水はみぞろいけの出口で、西山の麓にぶつかります。大水はここで止められて砂や石、泥がどんどん積み重なっていきました。矢印はこうした大水の流れの方向を示しています。

曲がりくねった線は等高線。地図の左側の数字は海抜の高度です。みどろいけはおよそ75mです。JR京都駅付近は約28mです。京都盆地は南部に穏やかに傾斜している事がわかります。 みぞろいけは周囲を山に囲まれた谷にあります。谷の一番奥を谷頭(たにがしら)といいますが、そこから谷は南西方向にのびて児童公園のところで谷が開いています。この谷の口が、賀茂川の氾濫によって運ばれた石や砂、泥でふさがれました。

こうして谷の内側は盆地側と区切られた時代がありました。このようにして自然が作った堤防がみぞろいけをそれまで以上に池らしくした事でしょう。こうしてできた堤防を自然堤防といいます。

時代が下がって、この自然堤防の上に、何回も何回も粘土の層を積み上げ、ついに1.5mほどの高さまで盛り上げる築堤工事がありました。この工事は今から1500年あまり昔の事だったようです。平安京よりチョットだけ前ですよ。だんだん発達した農業を営む地元の人々は田畑を潤すうるおす水の量を増やすための築堤工事を成功させたのです。

この時からみどろいけは溜池となりましたが、浮島を破壊するような事はなかったのです。


深泥池の魚たち

冊子の表紙にある写真を見てください。何をしている所でしょう。これは仕掛けておいたモンドリという網を引き上げている所です。

ここにみるモンドリは流れのない池のようなところに沈めて、水中の生き物、おもに魚類を捕らえる網です。エサは入れてありませんが、いろいろの魚屋ザリガニなどが入ります。

餌を入れるともっとよく入ると思いますが、なぜ、餌を入れないのかというと、深泥ヶ池というのは、外部から、パンにしてもね、池の外から何か食べ物を、入れるという事は、非常に悪い事なんです。

それを知らないで市民のいろんな人は、カモが来たらパンをやったりいろんな事をしていますが、絶対それは良くない事で、なかなか、それが理解しにくいんで、池の水がドンドン汚れています。皆さんは餌は絶対に池の中に入れないようにして下さい。ミミズにしても何にしてもだめなんですよ。

生き物達は冊子の93ページの生態分布の図の2と3付近に多く生活しています。モンドリは2と3の適当な深さの所に沈めておきます。夏は水位が下がり、浅くなるので3の付近に仕掛けます。みぞろいけで最も多くモンドリに入るのがブルーギル、次に多いのがブラックバスやゲンゴロウブナです。


      
ブルーギル ブラックバス ゲンゴロウブナ

定置網でえり網とよぶ網を使って調査した結果が93頁の表にまとめてあります。この調査以降はこのえり網とモンドリや投げ網などを使ってブルーギルとブラックバスだけを全部捕獲しようとしています。

この捕獲事業は京都市の文化保護課でしていますが今年で5年目です。調査を始めた頃と比較すると、今年は外来魚のブルーギルもブラックバスもうんと減少しました。捕獲した魚は全部アルコール付けにして保存し、研究に使われています。それでは池のほうに行きましょう。


深泥池 南側 公園前

 

モンドリを1時間前に仕掛けておきました。さあ、引き上げてみますよ。

2〜3cmの小さなブルーギルがたくさん入っていますね。一匹だけ細長い魚がいるでしょ、これはモツゴといいます。昔から深泥池にいる魚なので、これは池に返してあげましょう。

アッ!黒いトンボが飛んでいる!あれはチョウトンボですね。 これから西山の麓を山道を歩きながら池の奥へと進みましょう。

楕円形を下緑色の葉が見えるでしょう。水面にいっぱい張り付くように広がって見えますね。あれがジュンサイの浮葉です。野生の状態でこのよう昔から生えている所はみぞろいけだけです。そうなんですよ。これは天然記念物なんです。

ジュンサイを含むミズクサ類の集まりは、国の天然記念物になってるんです。だから採取は禁止されています。採ったらダメですよ。


西山の麓を進みながら

さっき公園の上でモンドリを引き上げた場所の沖合いにも、ジュンサイの浮葉がいっぱい見えたでしょ。2年前に始めて堤防沿いに点々と葉を出してきたんです。今年は花もたくさん咲きましたね。6月頃です。だんだん減少している水草がある一方で、ジュンサイのように繁茂を続けている水草もあるのですね。

次は池のまん中に広がる草原に注目してください。白い花をつけた低い木が眺められます。ノリウツギの花で、秋口には毎年たくさん咲きます。昔はわしをすく際のノリに利用された低木です。

ジュンサイやノリウツギの花を眺めながらもう少し先に進むとちょっとした広場にきます。この空間は野外の自然教室として整備すれば、最適な所だと思います。さてここで浮島とみぞろがいけの成り立ちについてお話をしましょう。


浮島について

よく眺めると、ノリウツギ以外にアカマツやその他の低木類が茂る部分と草原になっている部分が入り混じって眺められます。実際は全面がほぼ平坦な湿原になっているのです。この湿原にはハリミズゴケとオオミズゴケが繁茂しています。これらがみぞろいけの浮島上では最も重要な植物であり、特にオオミズゴケは最大30cm余りの盛り上がりを形成します。そして高層湿原と呼ばれる自然環境を保っています。

そこにはホロムイソウを代表格とした幾種類もの氷河期からの生き残りの生物が、今でも生き長らえているのです。これらを氷期の依存種というんですよ。

浮島は文字通り浮いています。その厚さは約1.5m。毎年茂った湿原の植物はミズゴケ類も含めて、枯れたあと積み重なって、長い年月の間に泥炭層になります。浮島は土ではなく泥炭層なんですね。これを植物遺体起源といいます。

この泥炭層は夏になると層の内部にメタンガスが発生し、この浮力が原因で浮き上がります。逆に冬になると沈みます。だから、冬に浮島が冠水して、奥の方まで悪い水が入るとミズゴケ類が枯れてしまうんです。

実験ではオオミズゴケは水道水の中では1ヶ月もしないうちに枯れてしまいます。みぞろいけでは浮島上の自然が健全な状態を維持する為には、雨水が必要なんです。つまり貧栄養、栄養が少なくて酸性の水質がどうしても必要なんです。ちなみに酸性の水というのはPHが6以下の事です。


みぞろいけの成り立ち

手元の冊子の100頁と101頁では、説明と絵によって、みぞろいけの成り立ちを説明してあります。この絵と同じ「のぼり」を木の枝に吊り下げました。「17.4mの池底までエレベーターで降り、小学4〜6年生の子供が厚い堆積層の中を探検する」というものです。 子供達も良く聞いてください。みぞろいけについてですが、深泥池は深いんですね。ある場所でボーリングということをやりますと、17.4mの深さまで泥がたまっている事が分かりました。その泥は山の土、川の土ではないんですね。全部草なんです。

このみぞろいけには浮島という島があるんですが、その浮島の上に生えている植物で、一番中心となるのは、大事なのはミズゴケ類です。そのミズゴケ類が泥炭になりまして、17.4m。底まで積もっている事が分かりました。底には今でも花が咲いて見れる花の花粉ですね、それからミズゴケは胞子です。これらが化石で見つかっています。
どこの深さの所をとってみてもまったく変わりがない。だから、連続してみぞろいけという沼が続いていることが分かりました。
例えばここには6300年くらい前に噴火した火山の火山灰が見つかっているんです。次はもっと底に2万4800年くらい前に噴火した火山の火山、というように噴火した時代がわかっている火山の火山灰がみぞろいけに積もっている事がわかったんです。

では一番深い17.4mというのはいったいいつ頃なのか?これも学者が興味を持って色んな日本中の湿地帯の研究の事を調査して比較しましたら、約14万年前ということが分かったんです。現在の所14万年という数字は絶対的ではないんですが、14万年という数字出せるほどを出せるほどになったわけです。

日本中どこ探しても、そこまでの数字の沼はまだ分かっていません。みぞろいけは一番古いんです。 みぞろいけは焼く14万年前の小さな谷の湿地の時代から現在まで、途切れることなく変化しながらも続いてきたことになるのです。


みぞろがいけ野外自然教室から

水辺まで階段を下り、水草の花を見ましょう。緑の葉で覆い尽くされている池面を眺めてみましょう。

         

タヌキモ

黄色い小さな花が目に入りますね。あれはタヌキモという食虫植物の花です。冊子の94〜95ページに説明を書いてありますので、ここではタヌキモの体全体を観察しましょう。 根はありません。退化してなくなってるんですよ。だから漂っています。

松葉のような葉はながさ2〜3mm、太さは頭髪ほどの細いものです。こんな葉のそばに直径1mmほどの粒がいっぱいついています。これが捕虫のうといって水中を泳ぐミジンコなどの小動物を捕らえる袋です。緑のほうが今年伸びたぶんです。古ぼけたほうは去年から残ったほうです。もう虫を獲ったあとは黒っぽい粒々になっています。

タヌキモは、タネができません。今年伸びた茎のところどころに新しい芽が伸び、それが冬を越してふえていきます。タヌキモは水中を漂う生き方をする植物で、花だけが水面上にでて咲きます。黄色いマメに似た花、あるいはランに似た花、そういう花が咲きます。


ヒメコウホネ

池の中央部分を望遠鏡でみると、ジュンサイの葉にまじって、より緑色の濃い大型の葉と、色は黄色ですが大きい花が眺められますね。あれはヒメコウホネと呼ぶ水草です。注意してみるとあちらこちらに咲いているのがわかります。


ミドロミズメイガ

実はみぞろいけではこのヒメコウホネを食べ、ヒメコウホネと一緒にいないと子孫が続けられないという「ミドロミズメイガ」が発見されています。毒蛾ではないんですが蛾です。これが生活している事がわかりました。

他の葉っぱを食べても、成虫になれるけど卵を産めないのです。ヒメコウホネノ葉っぱを食べた幼虫に限って、蛾になった時に、卵を産めるんです。不思議な事ですね。だからその蛾はヒメコウホネが昔からあった時から、ヒメコウホネと一緒に暮らしておったと、いまだにヒメコウホネ以外には自分の住む世界を開拓委託できていないと。蛾とヒメコウホネは一身一体のものだと。

じゃあ、蛾がヒメコウホネになんか貢献しているのか?それはまだわかっていないんです。ヒメコウホネの方は自分を食べてくれる事によって、その蛾は子孫がつながるというふうに、蛾を助けているんですね。でも、蛾はヒメコウホネにどんな益を与えているのか、まだわかっていない。きっと何かあるんですね。何かある。でもまだ現在わからない。こういう面白い関係にある蛾がここで見つかっているんですね。なまえは、ミドロミズメイガといいます。

水の中から蛾になって出てきます。 ジュンサイもヒメコウホネもスイレン科に属します。また、これらの水草も氷期の異存主だろうといわれています。


トンボの季節

              

水中に産卵し、ヤゴという幼虫の時代を水中で暮らすトンボは水生昆虫です。ヤゴの形を大きく描いてみました。そのまわりに網でとらえたトンボをつけてあります。

こちらはイトトンボのヤゴを描いたものです。イトトンボ類は体はずっと小さく細い体形です。細長いマッチ棒のようで、腹が黄色いものはキイトトンボ、赤いのがベニイトトンボです。

トンボの顔には口以外は大きな目玉があるのが特徴です。 2個の大きな目玉はくっついています。この目玉は複眼といいます。ところがイトトンボの目玉は小さく、頭の両端に離れてついています。 また、羽根を観察するとイトトンボの羽は同じ大きさ形です。トンボの羽は前羽と後羽をくらべると、後羽はその付け根がぐっと幅広くなっています。

さらにヤゴについても違いがあります。イトトンボノヤゴは尾に3枚のヒレのようなものがあります。このヒレを使って身体をくねらせて泳ぎます。さらにヒレで水中の酸素をとりこんでいます。呼吸をする所ですね。トンボのほうはこんなヒレはありません。あしりに穴があいていて、この穴から腸に水を吸い込み、酸素を取り込みます。吸い込んだ水を強くはき出すことで、水中を速く泳ぐことができます。ちなみにこの穴はトンボの肛門です。どちらも6本の足があり、ゆっくり歩くこともできます。


深泥池の水

観察コースの最終地−『小川の水』を調べてみましょう。 『小川の水』と『水道水』『エアコンによって外に出てくる水』の3つを調べる事にします。小学校5〜6年生が理科の学習で使う事のあるB・T・Bと略記号で呼ぶ薬品を使って酸性か中性かアルカリ性かを調べるのです。まず、入れてみます。どちらにも5滴くらい。 実はこの薬でこういう判定が出るんですけど、青い色が出たのはアルカリ性です。黄緑系は中性なんです。黄色が酸性なんです。


 エアコンから出た水  水道水   池に流れ込む小川の水   池の水
  BTBを加えて振る  薄い緑色   緑色より青っぽい     緑色より青っぽい  黄色
水の性質 中性 弱いアルカリ性 弱いアルカリ性   弱い酸性   

深泥池の水はどんな水がいいかというと、酸性の水がいいです。最もいい水は雨水なんです。だから自然の水ですね。

エアコンから出た水は蒸留水に近い水で中性。水道水は中性から弱いアルカリ性。池に流れ込む水も水道水に似ている、という色の反応を見ました。

水道水は琵琶湖の水です。いろいろな物質が溶けている水です。この水でオオミズゴケを育ててみると、1ヶ月もしないうちに枯れてしまう事がわかっています。

池に流れ込む水ではオオミズゴケの実験はしていませんが、中性ないし弱いアルカリ性というB・T・Bの反応を見ると、水道水と似ている点や、また、この小川の奥の山の中に松ヶ崎浄水場でつくった水道水を貯える大きな貯水池があること、また、年中冬も夏も、雨が降っても降らなくてもほぼ同量の流れが続いている、こんな点を考え合わせて見ますと、どうもこの小川の水は貯水池のどこか、又は送水管のどこかから漏れでたものではないかとの疑いを持ちます。

小中学生の理科学習の知識からはこの程度の解釈ができますが、研究者による精密な水質検査ではこの小川の水と水道水はほぼ同じ水と判断されています。

みぞろいけの水質、強いては浮島の自然を守るために一日も早く、この漏水の流れが池に入らないようにしていく必要があります。



追加
平成14年8月30日(金)朝日新聞に『小川の水』は水道水の漏水であるということを
水道局が認めた記事がありました。


最後にこれで終わりにしたいんですが、この向こうにもんどりを2つ仕掛けています。今開けましたので、ブルーギルばかりですが、今年の春生まれてこれくらいの大きさのものです。池には絶対に戻さずに自分のうちで飼うという人に限ってあげます。欲しい人は来てください。



講師紹介

田末 利治氏   

京都市左京区在住
深泥池を守る会