始動編

 

 モトコーと呼ばれる場所がある。正式名称を元町高架下商店街といい、JR神戸駅から元町駅間の高架下にある商店街である。

 ここは、ジャンク屋から大人のおもちゃ専門店までバラエティー豊かな店が点在する私のお気に入りのスポットである。特に古本屋が多数軒を並べており、中には“捨てられているのではないか?”と思うほど無造作に古本を並べる店もある。

 ある日、いつものように古本を物色しながらモトコーをぶらついていた時のことである。モトコーの中でもよく訪れる古本屋に入った時、“ある一冊の本”が私の視界に入ってきたのである・・・

 
 中岡俊哉 著 小学館 昭和49年初刊

 ふしぎ人間エスパー入門 【超能力人間エスパーの驚異をさぐり、あなたがもっているかくれた超能力をひきだし、トレーニングする決定版】

 む、むむむむぅ。この私にもかくれた超能力があるというのか?面白い。引き出してもらおうじゃないか。そして、超能力人間エスパーとなったあかつきには・・・

 透視能力を使い、食玩のおまけを開封せずに判別する→シークレットだけを抜き取りまくる→Yahoo!オークションで売りまくる→大儲け→純白のメルセデンス、プール付きのマンション、最高の女とベッドでドン・ペリニヨン・・・

 スゴい!スゴすぎるぞエスパー!

 欲望の塊となった私は、すぐさまこの本をレジにもっていった。そして、、、

「2500円です。」
 店主の無機質な声が店内に響きわたった・・・


 2500円!定価は450円だぞ!こんな本、私以外の誰が買うというのだ!

 まあいい。超能力人間エスパーとなってモトをとってやる!さらに念力を使って、この古本屋にある全ての本の表紙を裏返しにしてやる!ふははは。店主よ覚えていろ!

そして、

 大いなる野望のため身銭を切って本を購入し、帰途へと向かったのである。

つづく

 

発動編 その1へ