ベトナムの水産事情

このページはベトナム駐在のT氏からの投稿です。

2000/02/08
ベトナムのBTの漁期ですがベトナムの場合、養殖産地を2つの地域に分けて考える必要あります。

1.ホーチミン以北ダナン、フエまでの中部ベトナム(ニヤチャンが中心);

特徴;
海岸線沿いに養殖池を作り完全給餌の集約養殖をしています。

漁期;
4−10月;この地域は10−12月が雨期、モンスーンシーズンになりますので実際池が溢れ養殖ができなくなります。1月に稚エビを入れ10月までに1−2回育成、取り上げします。サイズ;そのため給餌効率を考えHLサイズで21−31が中心です。

2.ホーチミン以南のデルタ地区(ソクチャンーカマウが中心);

特徴;
デルタの氾濫原を利用した養殖で、稚エビは入れますが給餌無しの粗放養殖です。天然種苗のピンク、ホワイトとの併合養殖です。


漁期;
周年;メインは10−2月、5−8月とのことですが、今年は天候不良でメインシーズンが2−5月にずれているとのこと。
毎月稚エビを入れ、年に3−4回取り上げるとのこと。
サイズ;HLサイズ8−16中心。

1.の中部ベトナムでは年に1−2回完全に池をさらって取り上げますが、2.の南部デルタでは年に3−4回大型のみの取り上げになります。このためベトナムでは、小型サイズ、21以下は中部ベトナムで、大型サイズ、16以上はデルタで作るという事になっています。そのためデルタの工場が作りきれない小型サイズを中部で作ったりと、ベトナム国内での原料買い付け競争による原料価格高も起きています。またベトナムではアメリカ向けの、尾付きムキエビ、HLIQFが好調で、加工をやりたがる(儲けがでる)順序から言うと、
1.日本向けのばしエビ
2.アメリカ向けPTO IQF,HLIQF
3.HLブロック
となり、通常のHLブロックの価格は高まったままです。
さらに、ベトナム国内には2種類の工場運営システム、官営とプライベートが存在し、官営は儲けはなくとも外貨獲得のみでボリュームのみを考えたり、プライベートの工場は儲けがでないものはやらなかったりと複雑に絡み合っています。

2000/02/15
1.ベトナムの悪い点;

1)契約を守らない;
商社の人も指摘していたとおり契約を守らないということは今でもあります。特に納期など日本の事情に関係なく現場サイドの事情のみで事が進みますので、現場に張り付いて尻をたたいて進める必要あります。
水産物ですので天候や海流の異常により良不漁ありますが、価格が合わなくなり造らなくなったとか、常識外の事で契約が守られないこともたびたびあります。

2)品質に対する考えが甘い;
ただ造ればいい。数量が出来ればいいという考えがまだあります。相手がどんなものを望んでいるかなかなか理解してもらえません。一番たちの悪いのは実際は分かっていないのに分かっているように思い違いしていること。これを正すのは不可能。エビの保水剤等を使用して重量アップさせるというのは問題になって無くなったと思います。今はマーケットからの保水剤を使用して価格を下げるという要求の方が多いのでは?

3)衛生面についてはこれから;
ベトナムに限らず東南アジアのトイレ、台所事情というのはとても汚い。すざまじい限りです。その自分の家の食事を作る台所よりも何十倍もきれいな工場の床でなぜものを造ってはいけないのか、直接物を置いてはいけないのか、これはこちらの人の実際の生活習慣を変えない限り本当に理解したことにはなりません。

4)アンダーテーブルマネー;
これは日本人からすると一番いやな事だと思いますが実際多くあります。特に政府系の会社では給料も安く抑えられているし、みんなやっているので自分もと言うことになると思います。
今後プライベートの会社、工場が増え能力による給料というものが普及するにつれて変わってくると思います。
しかし今後ベトナムの社会は大混乱が予想されます。今まで社会主義のもと統制経済で貧しいながらも安定した生活を送っていたのが、今後近い将来非常に大きな資本主義の波が襲ってきます。もう若い世代はインターネット等を通して自由に外の世界をみれるのですから。彼ら若い世代の物資欲とよそ欲望がかなえられない不満が爆発したときはどうなるのでしょうか?

2.いい点;

1)基本的に人間は素直で素朴である。今の時点ですが今後はどうなるか?

2)勤勉で一生懸命です。

以上に2点は素直な目で見てそう思います。
悪い面が先に立ってしまいますが、いい面や興味をもっと持ってやっていきたいですね。

2000/02/20

 ベトナムの商道徳の改善は時間を待つしかないと思います。プライベートの工場が直接輸出出来るようになってまだ5年も経っていないと思います。しかし、このプライベートの工場の経営者の中にしっかりした人たちがいますので、もうこの1−2年の間に様変わりすると思います。旧態然とした商売をやっている国営系の企業は水産のみに限らず、どんどん見捨てられていきますし。現在ベトナムでは国営系の企業の株をどんどん民間へ売却していっています。力のある、信用、商道徳がしっかりしている所しか残らないと思います。
 水産に関してはベトナムの人の望むところはもう少し加工度を高めた製品を作りたいようですがこの点も難しさがあります。特にイカ、魚はタイと比べ工場設備、衛生問題でタイほどの製品は出来ないし、不安はあります。そのため日本人が考えることはタイで付加価値を高めた製品、ベトナムで付加価値を付けない原料的な製品で品質はそこそこで安く買いたいというとこでしょうか。
しかしエビ(BT)は結構棲み分けされるのでは?ベトナムで日本向けのばし、アメリカ向けPTO。HLは儲からないので作りたがりません。そこでインドでHL、タイですしエビやカクテルシュリンプなど。
 今回南部ベトナムデルタ地区にテト後のBTの状況を調べに行って来ましたが結果は下記です。

1.テト(旧正月)後、水揚げが増え価格落ちるとみていましたが思ったほど水揚げ多くなく、また日本向けのばしエビ、アメリカ向けPTOの生産が順調で原料価格高まっているようです。そのため日本向け、アメリカ向けの加工品を作っているところは、儲からないHLは作りたがらない。

2.一部パッカーのHL向けの強気の買い付け、加工もあるようです。ベトナムのエビの上位パッカー3−4社で公営企業。儲けでなくても外貨獲得やベトナムの顔と言う名目で強きの買い付けをしているようです。

3.インドのBTの価格アップの影響もあるとのこと。

4.現在ベトナム内、BTの水揚げは南部のデルタエリアのみだけですので、今後の変化は4月からの中部地区の水揚げが始まってどうなるかだと思います。しかし、昨年からの流れで南部地区の有力パッカーが南部地区での原料不足を補うため、中部地区での原料買い付けや加工を行うため中部地区の水揚げが始まっても価格あまり下がらないかもしれません。
ただアメリカ向けのBTの輸出は好調ですね。
ベトナムでも日本向けののばしで量より利益を取り、アメリカ向けでボリュームを出すと言う構造は変わりそうもないですね。
各工場とも品質にあまりこだわらないアメリカ向けに注力しているのも分かります。
品質、サイズ、入れ目、色合いまでうるさい日本向けに気がそそらなくなるのも分かります。
ただ一部の人はアメリカ向けに偏りすぎるのに危機感を持っています。
デルタ地区のもう1つの産品であるキャットフィシュもアメリカ向けに偏重していてBTと供に危惧されています。
彼らの現在の関心はヨーロッパ向けにどれだけ輸出を伸ばせるかという方に移ってきているようです。
最終的には、日本向け、アメリカ向け、ヨーロッパ向け、中国向けとバランス良く加工、販売できた工場が残るのではないでしょうか。
しかしアメリカ向けを支えているのが国営企業がメインでここは前にも書いたように、利益を上げると言うよりは外貨獲得、ベトナムの顔、メンツとして動いているのでどうなるか分かりません。
これらの工場は、生産高、輸出高のみ公表するだけで経営内容はいっさい不明です。
このようなことは長く続かず、いつかは破たんすると思いますが。

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